2014/04/21

販路拡大は山あり谷あり / Ups and downs of expanding markets

ここ最近は、モロッコでの活動2年目に入ったということもあり、これまでに開発してきた商品の販路拡大の活動で追われてました。

まず、数週間前にもブログに書いた、近郊のホテルでの販売交渉。トドラ渓谷にて宿を営む日本人女性ののり子さんのホテルに4月3日に納品させて頂いた商品ですが、ありがたいことに旅行客の方々に買って頂いているようで、徐々に売り上げが上がって来ています!

そして、グルミマにあるホテルでも商品を置かせてもらえることになり、まずは商品を紹介するためのカタログを英語とフランス語で準備することから取りかかることになりました。そのカタログを見て、「商品を買ってみたい、見てみたい!」と思った旅行客には、私の活動先のアソシエーションを実際に訪れて、自分たちの目でどうやって現地の女性たちがベルベル刺繍商品などを作っているのか見てもらい、商品を買いたい気にさせる!(笑)、という作戦です。そのためには、アソシエーションまで足を運んでもらえる程魅力的な商品紹介やベルベル刺繍の紹介を用意しなくてはいけないので、考える文章もかなり注意して言葉を選ばないといけません。

写真も大事なので、カタログのためにわざわざ同僚の女性にベルベル刺繍のマント「タハルート」を羽織って、クサル(要塞化した村)の廃墟の前にたたずんだポーズをとってもらったりと、結構大変です。

英語もフランス語も母国語ではなく、特にフランス語に関してはかなり自信がないので、アソシエーションの同僚に校正入れてもらったりしたのですが、「ここはこう言いたいんだ!」っていう説明をフランス語でするのも大変で、普段あまり慣れないデザイン作業的なことをPCでずっとやってたので、なんだか疲れました・・・。

とりあえず、英語版もフランス語版のカタログももうすぐ正式にホテルに配れそうなので、あとひと頑張りです!
こちらはベルベル刺繍マントの紹介(英語版)

こちらは活動先アソシエーションの1つの商品を紹介するカタログ(英語版)

そして、先週金曜日には、隣町ティンジダッドにて開かれていたちょっとした農業祭みたいなイベントが一週間開かれていて、そこにグルミマやティンジダッドのアソシエーションがブースを出して商品を販売しているということで、活動先女性たちと一緒に視察に行ってきました。
会場の入り口はこんな感じ

規模はそんなに大きくなかったのですが、中には人がいっぱいで、約5〜8くらいの団体や個人が手工芸品などの販売を行っていました。先輩隊員が活動していたグルミマのアソシエーションもここに出展していて、やっぱりここの団体の商品は可愛いなーと勉強になりました。
先輩隊員が活動していたアソシエーションの商品
グナワ音楽の演奏者たち

そして、このお祭りの後にグルミマに戻ろうとしていた途中、なんとずっと前から連絡をとっていた、オンラインショップの担当者のブラヒムから連絡があって、「今日グルミマに着いた」というではないですか!!!

このサイトは、Anou」というオンライン販売(英語)のサイトで、元々モロッコにて活動していたピースコー(協力隊の米国版)がモロッコ人と立ち上げたサイトです。読み書きができない商品生産者でも、高い料金をとる仲介者を通さずに、公正な取引に基づいて消費者に直接商品を売れるという、私が一緒に活動している女性たちにとっても良いのではないかと思っていたサイトです。私がモロッコに赴任した頃から存在はずっと知っていたのですが、活動1年目は商品開発と製作に専念したかったので、活動2年目に入ってからこのサイトを活用して販路拡大をしようと思っていたところでした。

もちろん、読み書きのできない生産者がすぐにネットで商品を販売できるはずはないので、商品の写真の撮り方や、撮った写真のアップロードの仕方、値段の付け方、などを色々と教えてくれる訓練が事前にあります。この訓練を私の活動先のアソシエーションの女性たちにも受けてもらったいいのではないかと思って、前から先方と日程を調整していたところでした。

それにしても、数日前までは「今グルミマの近くの街にいるから、そっちに行くことになったら連絡する」という話だったのに、なんと「今日着いた」って、どれだけ急なんだ・・・・って感じでしたが、せっかく来てくれたので、このチャンスは逃さないようにしないと!と思って、急いで活動先の2つのアソシエーション("W"と"N"とする)の女性たちを集めようとしました。

とはいっても、やっぱりこんなに急にはなかなか人が集められず、幸い1つのアソシエーション「W」はこの日に一緒に前述のお祭りに行っていた帰りだったので、その流れですぐにAnouの説明会に参加してもらえたのですが、もう1つのアソシエーション「N」はこの日に既に別の予定が入っていて、「今すぐに来て!」と言っても誰も来ず、説明会が半分以上終わったところで、やっと一人役員が来た具合でした・・・。

急遽行われた説明会では、Anouの代表のモロッコ人ブラヒムが、組織の説明や背景、どうやって生産者がこのサイトを使って商品を販売できるかなどを説明してくれました。最初3Gの電波がないとか技術的な問題が諸々発生してどうなるか心配でしたが、ブラヒムや周りのモロッコ人が手際よく動いてくれたので、なんとかネットにも接続できました。
ブラヒムの説明を一生懸命聞く女性たち

結局、役員1人しか来れなかったアソシエーション「N」には、「明日は必ず手工芸グループの女性たち全員に来てもらうんだよ」とモロッコ人同士で言ってもらい、この日は解散。

翌朝、前日に続いて、今度は商品の写真の撮り方の実践や、生産者のプロフィール用の写真撮影やインタビューやら、アソシエーションのページを作るためのインタビューやらで、徐々にAnouのウェブサイトで商品を販売するための準備が進んで行きました。
ブラヒムが女性に対して商品の写真の撮り方を指導する

そして、前日1人しか来れなかったアソシエーション「N」の方は、この日になっても何故か女性1人(リーダー)しか来ずに、ついつい「もしあなたのアソシエーションはこのような機会が必要でないならば、無理して参加する必要はないんだよ」と言ってしまいました。私だけ一人で突っ走って、肝心なモロッコ人がやる気がなかったりついて来れなかったりしたら、ある意味余計なお世話なような活動になってしまうので・・・。

でも、彼女は「ううん、これは私たちにとって良い機会なの」と言っているし、他のメンバーにも「今すぐ来て!」って連絡してくれている。それでも、他のメンバーはなかなか到着せずに、私も段々イライラと不安(これは本当に彼らがやりたいことなのかという)が増してきました・・・。

そんな中、手工芸グループメンバーが全員訓練に参加しているアソシエーション「W」は、着々とプロフィール用の撮影を終えたり、写真の撮り方をマスターして自分たちで写真を撮ってみたりして、元々格差のあったアソシエーション同士の差は開いていく・・・。
商品のクロースアップの写真の撮り方を教わる女性
今度は自分たちだけで商品の写真を撮ってみる


やっと2時間遅れくらいで、メンバーが揃っていなかったアソシエーション「N」の会長が到着し、その他メンバーも3人程到着。でも肝心な手工芸グループの女性たちは来ておらず、しょうがないから、Anouのサイトのアソシエーションプロフィールを作成するためのインタビューを会長に受けてもらったりしました。

女性たちが一人一人生産者インタビューを受ける中、私の頭の中は、「本当にこれは彼女たちがやりたかったことだったのだろうか?またはこれは今の段階では早すぎたのではないか?」ということでいっぱいでした。

そんな中で、たまたまその場にいたモロッコ人男性の一人(今までに会ったこともない人、おそらく役員の誰かの兄弟)が、私が作った暫定的なカタログ(仏語版)を読んで、私が書いたベルベル刺繍に関する説明に細かいいちゃもんをつけて来て、議論となりました。この男性、私がどんな目的でこのカタログを作っているのかそもそも理解していないのに一方的に自分の意見ばかり主張してくるので、こっちも腹が立ちました。彼が主張している部分は一理正しい部分もあったので、そのことに関しては同意しましたが、他のことは私が意図としていることと全く違う側面について主張していたので、そこに関してはフランス語で反論し、周りにいた私の同僚たちも私のフォローしてくれました(はあ、フランス語で議論なんて、本当に疲れる・・・)。

これまでの、アソシエーション「N」の人が集まらない・・・(→結局、私がめちゃくちゃなアラビア語で役員に確認の電話をする)、そもそもこれはモロッコ人たちが望んでいたことだったのか?私だけ一人で突っ走っているのか?という疑問、そして初対面なのにいきなり分け分からんいちゃもんをつけてくる男性・・・、など色々と重なって、この時ストレスがMAX。

そんな時に、アソシエーションWの女性たちが、「この機会を私たちにくれてありがとう」と言ってくれて、今までに張っていた緊張が一瞬にして解けたかのように、涙が溢れてきてしまいました。普段人前では絶対に泣いたりしない私ですが、このときはもうどうしようもなくって、同僚の女性たちの前で初めて泣いてしまいました。

「ごめんね、泣くつもりなんか・・・。」
と謝りながら、
「私は常に、自分が去ったあとに、あなたたちがどうやって商品販売を継続していけるかを考えて活動している・・・。だから、今回このようなオンライン販売に向けた訓練の機会を設けたけど、時々自分のやっている活動があなたたちのために本当にいいのか分からない・・・。」
と説明し、涙を拭いて周りを見たら、なんとそこにいた同僚の女性たち3、4人全員もなぜか皆、涙・・・!!(笑)

私もビックリして、「え?なんで皆も泣いているの!?」みたいな感じでしたが、どうやら彼女たちは、「私がここを去ったら」という言葉にどちらかと言ったら反応したようで、私が彼女たちにバイバイしなくちゃいけないということに対して涙を流していたようです・・・。(私はどっちかというと、もちろんそれもそうなんだけど、それよりも、自分のやっている活動が本当に女性たちにとって良いのか分からない部分もあったので、「ありがとう」と言われたことに対して嬉しくって、感極まって泣いてしまったということだったんだけど、まあいいや・・・笑。でも、よくよく考えてみると、こんな風に一緒に泣いてくれる同僚が周りにいるってことは、私は恵まれていると思います。)

この日は結局アソシエーションでのネットの調子が悪くって、街中のサイバーカフェにてネットを使ったサイトの使い方の講座を実践しました。このときには、アソシエーションNの手芸グループの女性たち何人かも参加してくれました。でも、女性たちも普段PCなんて使わないので、まずキーボードのどこに何の文字があるかわからないし、マウスの使い方も分からない・・・、そしてサイバーカフェのくせして、ネットの調子が悪い(!)など、色々な壁があり、女性も担当者のブラヒムも疲労困憊・・・。この日はもう時間も遅かったので、講座はここで終了し、ブラヒムも翌日はティネリールに向かって去って行きました。この後は私が女性たちにPCの使い方の基礎講座などを行いながら、ネットに商品の写真をアップする方法を伝授していくことになりそうです。

まだ私の活動先のアソシエーションの商品はAnouでは購入できませんが、今後アソシエーションのページや商品リストが出来次第、オンラインストアがオープンしそうです!サイトはオープンし次第、またブログにて更新します!!

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