2014/06/16

アソシエーション&コーペラティブ訪問 / Visit to associations & cooperatives

モロッコでは、アソシエーション(Association)と呼ばれる、地域の住民が任意で結成して活動する市民団体がたくさんあります。アソシエーションの目的はそれぞれ異なりますが、多くのアソシエーションは、地域の住民の社会発展を目指して、教育、文化、スポーツなどの活動を展開しています。

私が青年海外協力隊の活動で協力しているのが、このアソシエーション。現在、2つのアソシエーションにて活動していて、両方の団体が地域住民(特に女性と子どもたち)の社会発展を目指し、識字教育、補習授業、非公式教育を行ったり、フェスティバルやスポーツ活動の企画を行ったり、女性のスキル強化として手工芸活動を教えたり学ぶ場を提供しています。

私の活動の一部は、これらアソシエーションの女性たちと一緒に商品開発や販売を行って、彼女たちの現金収入向上に貢献すること。それ以外にも、教育分野においては英語の補習授業を毎週末行ってます。

日頃活動しているアソシエーション以外にも、別の団体を訪問して彼らの活動を学ぶことによって、色々勉強になることが多いので、今回は最近訪問した2つの団体のことを書きます。

前回のブログ記事ではトゥブカル山に登ったことを書きましたが、下山した後は、マラケシュ近郊にある団体を訪問してきました。

訪問先は、Tameslouhtというマラケシュからバスで30分くらい南に行ったところにある小さな町。この町に拠点を置き活動している、あるCooperative(組合)を訪問しました。コーペラティブというのは、営利目的に活動する団体で、アソシエーションは非営利目的のために、ある程度売上があがるようになると、アソシエーションとは別にこのコーペラティブというのを立ち上げる必要があるようです(はじめからアソシエーションではなくて、コーペラティブを立ち上げる場合もあります)。販売する商品は、自分たちが作った手工芸品や食品が多いようで、それらを販売することによって生活の足しにしている人たちが多いようです。

このTameslouhtのコーペラティブでは、以前ピースコー(青年海外協力隊の米国版)のボランティアが活動していて、彼女のFacebookにアップされるコーペラティブの商品の写真がすごく可愛くって、どんな商品をどうやって作っているのか一度見てみたいなと前から思っていたのでした。

彼女は既に帰国してしまっているので、彼女にコーペラティブの連絡先をもらって、つたないアラビア語で電話で訪問日時をアレンジして、他の任地のアソシエーションで活動する村落隊員と、助産師隊員の3人で訪問することになりました。

マラケシュからバスに乗って、着いたのは終点のTameslouht。早速、事前に連絡していたRidouanさんが迎えに来てくれてました!彼に連れられて、徒歩5分くらいしたところにそのコーペラティブはありました。

外見からは一体どこにコーペラティブがあるのか分からないようなところだけど、扉を開いたら、商品が色々ディスプレイしてある小さな部屋があって、そこで長時間商品を見せてもらいました。


ここの団体の商品の多くは、織物。男性たちが中心となって、織り機で1つ1つ商品を織って行くようです。実際に織る様子を見せてもらいました。
大きいものは2人がかりで織る。
タイミングがズレると怪我してしまいそうなので、
チームワークが大事なんだろうなと見てて思いました。
糸を紡ぐ
このペダルで、織物の模様を変えるみたい。すごい!
見ているうちにどんどん出来ていく
私の活動するアソシエーションでは、手工芸品を作るのは皆女性ですが、ここでは織物を男性が作っているというのが面白いなと思いました。

そして、女性が作業しているところも見たいと言ったら、別の建物(誰かの家)にて女性たちが作業する様子を見せてもらうことができました。

4人くらいの女性たちが、家の居間に集まって、男性たちが織った白い分厚いブランケットに、たくさんのキラキラの飾りを手で1つ1つ縫っていました。

日頃、女性たちが1つの場所に集まって手工芸品を作る活動をする場所はまだこのコーペラティブにはないそうなので、こうやって誰かの家で集まってやるか、各女性の自宅にて作業して、完成したらそれをコーペラティブまで持ってくるようです。

女性たちの作業を観察しながら、Ridouanさんと商品の販路拡大の話とか色々話しました。このコーペラティブは、マラケシュという大きな市場が近くにあるのが強みで、マラケシュのスークにあるお店に商品を卸したり、以前いたピースコーの協力を経て、手工芸品を扱う米国のお店に卸したり、独自にネット販売なども行っているようで、販路に関してはかなり勉強になりました。

訪問に協力してくれたRidouanさんや作業の様子を見せてくれた男性、女性たち、ありがとう。

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そして最近訪問したもう1つの団体は、グルミマ郊外に最近設立されたばかりのアソシエーション。ここの団体の会長は、私の活動先アソシエーションのメンバーと仲が良いみたいで、そのつながりで活動先アソシエーションの女性たち3人と私で、Hartという集落にあるこのアソシエーションを訪問してきました。

ここのアソシエーションの設立は、2014年3月31日。できたてホヤホヤの団体ですが、私たちが訪問したときは、既に30人近くの女性たちがアソシエーションの建物に集まって、編み物、ミシン、ベルベル刺繍などを習得していました。手芸の先生が数人いるようで、その先生たちから女性たちが教わっているようでした。

まだ設立間もないので、正直言って商品として売れるような手工芸品はなく、どちらかというと趣味レベルのものが多いなと思いましたが、女性たちが工夫して作った可愛い商品にはやっぱり目を引かれます。販売を目的としなくても、女性たちが新たなスキルを学んで、それで彼女たちの楽しみが増えたら、それはそれで素晴らしいことだなと思います。



うちのアソシエーションの女性たちはベルベル刺繍が既に上手なので、訪問先Hartのアソシエーションの女性たちに刺繍の仕方を教えたりしてました。何故か私までモロッコ人にベルベル刺繍を教えたりしてました(笑)。

私が開発に貢献し、現在活動先アソシエーションにて作っているベルベル巾着を見せたら、Hartの女性たちはすごく関心を持ってくれて、大きさなど全部計って作り方などを注意深く見てました。私が作った商品のカタログも見せたら、これも興味があったようで、「コピーが欲しい」というのでそのままカタログを提供してきました。

現在このアソシエーションの主な活動は女性のための手工芸教室なようで、曜日によって学ぶことが違うようです(編み物、ミシン、ベルベル刺繍、フェズ刺繍など)。そのうち、読み書きができない女性のための識字教育や、子どもたちのための補習授業なども行いたいそうです。

最後にはお菓子やアタイ(お茶)がたくさん出て来て、女性たちと一緒に写真撮った後は、アソシエーションを後にしました。

やっぱり他の団体を見学するのは勉強になります。私1人で行くのも勉強になるけど、やっぱりモロッコ人と一緒に行って、彼女たちの自分の目で確かめてもらうのが一番効果的な気がします。今後もそういった機会を増やしていくことができればいいな。

2014/06/08

北アフリカ最高峰トゥプカル山(4167m)に登ってきました!/ Just climbed Mt. Toubkal (4167m)!

しばらくブログを更新できずにいましたが、実は首都ラバトで行われた全ボランティアを対象とする総会と安全対策委員会に参加した後に、モロッコボランティア14名で、北アフリカ最高峰のトゥプカル山(標高4167m)に登ってきました!

山登りと行っても高尾山くらいしか登ったことないし、日頃運動神経が鈍い私ですが、何人かのモロッコ隊員たちがトゥプカル山に登る予定だと聞いて、こんなチャンスは滅多にないと思って、思いきって参加することにしました。

さて、トゥプカル山とは、標高4167mで北アフリカ最高峰の山で、モロッコ国内でも最も高い山となっています。モロッコにそんなに高い山があることが以外かもしれませんが、モロッコには山脈がいくつもあって、その中でも最も高い山脈オート・アトラスの一角にあるのがトゥプカル山なのです。

今回登山に参加することになったのはモロッコボランティア14名で、うち2人はトゥプカル登山経験のあるシニアボランティア。アトラス山脈の麓にあって、マラケシュから約1〜1時間半のところにあるタハナウトとアスニとウリカいう街にて活動する4名のボランティアの家に分散して泊まりました。

アスニという街に泊まることになった私は、今回の登山隊長のYくんと、アスニに住む隊員のOくんと一緒に、明日からの登山に必要となるガイド2名とラバ(ロバと馬のあいのこ)2頭、そして宿泊先となる山小屋の料金などを交渉するために、ガイドと待ち合わせ。結局1時間近く値段の確認などをして、みんなで夕飯食べて、明日からの登山に備えました。

【1日目】
朝タハナウトに泊まっていた2組のボランティアがアスニにて合流して、ガイドさん2名とも合流し、登山口のあるイムリルという村までミニバスで移動。バス降りて、みんなで集合写真撮って、登山開始!この時点で1740mです。

初日の目的地は、標高3207mのところに位置する山小屋。ここにて一晩過ごした後に、山頂を目指します。山小屋までの道はわりとなだらかで、周りの景色が壮大でとっても綺麗!




途中、何度か休憩所でオレンジジュース飲んだりしてゆっくり進み、ちょうど中間地点くらいにあるモスクのある場所にてお昼休憩。ちなみに、ここはイスラム教にとってのちょっとした聖地のようで、モスクの横にある白っぽい建物には巡礼にきた様子の人たちを数名みました。

聞いた所によると、ここのモスクのアザーン(お祈りに来いよ〜の呼びかけの声)はモスクの屋根に登ったムアッディン(アザーンの声を肉声で流す人)が拡声器を使って行うらしく、そのちょっと珍しい光景をビデオに収めたかったのだけど、時間になってもアザーンが鳴らない・・・。聞いてみると、どうやらこの日はムアッディンがアスニに降りてしまったようで、お昼のアザーンはならないとのこと。そんなことってあるんだ!!とビックリしました。

そして登山を続け、夕方日が暮れる前には無事全員山小屋に到着!

中央に見えるのが山小屋。
山小屋の入り口。標高3207m。

 そこまで急な上り坂ではなかったけど、1日中歩いたので結構疲れました。日が落ちると山小屋は一気に寒くなって、上着を何枚も重ね着して毛糸の帽子をかぶってちょうど良いくらいでした。

夜ご飯はガイド2人に作ってもらって、出て来たのはタジン!山小屋が寒いから温かい食事がちょうどいい!

しかし、既に山小屋で3207mの標高なので、隊長のYくん曰く高山病の症状が出る場合もあるとか。私の場合特に症状は見られなかったのですが、心配な人は何人か予防のための薬を飲んでいました。

翌日はみんな山頂アタックを控えていたので、この日は明日の準備をして早めに寝ました。


【2日目】
2日目の目覚めは朝早くから。この日から、私たち14名のグループは2グループに分かれて登山することになっていました。1グループは登頂2日目に山頂まで行って、前日に登山を開始したイムリルまで一気に下山する、計1泊2日のコースのグループ。そして2つめは、登山2日目に登頂して、山小屋まで下山しそこでもう一泊し、3日目に山小屋からイムリルまで下山する、計2泊3日のコースのグループ。私は体力に自信がなかったので、もちろん2泊3日のグループにしました。
山小屋からの夜明け
1グループの4人とガイドさん1人、そして山小屋にて知り合った日本語が上手なモロッコ人女性は、朝6時に山小屋を出発していきました。私たち2グループ目は、朝8時に出発しました。

山小屋から山頂までの道は、前日の道のりよりも遥かに急で、ゴツゴツした岩の上や滑りやすい小石がたくさんある斜面などを通らなくてはならないし、勾配も前日よりも急な斜面が多くって、簡単ではありませんでした。一気に標高を上げて行くので高山病にもなる可能性があるみたいで、私も標高3500mを越えたあたりから少しでもあるくと結構息がゼイゼイする感じになってきました。

隊長のYくんは、協力隊に参加する前は大学院にて富士登山に際する健康管理のモニタリングを勉強していたので、常にこまめに他の隊員たちの様子や休憩時間などをメモしていて、私がしんどそうにしていたのを察してか、途中からリュックを持ってくれました。

この辺から、周りの綺麗な景色を撮る余裕もなくなってきました(笑)。
標高3500mくらいのところ
途中、山の斜面に雪が残っていたり、雪解け水が流れる川は氷が張っていたりして、この山はつい最近まで雪に覆われていたことが感じられます。


そしてこの頃、私が10年以上前にイギリスのホストファミリーからもらった靴の底が本体から一部剥がれてきてしまって、看護師隊員のSさんと隊長のYくんが、私の靴に強力なテーピングを巻いて、一時的に抑えてくれました。。。

そして、どんどんと斜面が歩きにくくなってきて、高山病のためと思われる呼吸の荒さも現れたけど、頑張って登頂を目指します・・・!
























どんどんと周りの山が自分のいる位置よりも低くなっていって、山頂に近づいているのが分かります・・・。

息が切れる中、「あともう少しで山頂」というY隊長の声を頼りにゆっくりと急な斜面を登って、そして・・・


やっと標高4167mのトゥプカル山に登頂ーーーーー!!!




























多くの人たちがこの時点で結構高山病の症状に見舞われていて、頭がぼーっとするとか吐き気がするという人が数人いましたが、ガイドさんが作ってくれたサンドウィッチを雄大な景色に囲まれながら食べて(私は息をするだけで苦しくって食べると余計に呼吸が荒くなる感じでしたが)、

そしてみんなで登頂記念写真を撮って、大満足!!

そして今度は辛い下山が待っている・・・・。

山頂付近は小さな砂利や小石がたくさん転がっているために滑りやすく、かなり慎重に下山する必要がありました。急で滑りやすい斜面の下山は結構怖くって、隊長Yくんが、ずっと私のことを心配して、足の置き場を教えてくれました。

途中、他の隊員の補佐についたYくんの代わりに、NちゃんやTくんが私の補佐をしてくれて、ゆっくりではあるけど途中休憩を入れながら下山してたら、なんと山小屋に着いたのは夕暮れ直前の午後8時半頃でした・・・!

正直言って、2日目は登りも下りもかなり辛い部分もあって、足がもう死にそうになるくらいに疲れ、北アフリカ最高峰に登れた満足感もこのときはあまり感じられませんでした・・・・。

この日はあまりにも疲れたので、夕飯はメインまでしか食べず、デザートも食べずに爆睡してました・・・。


【3日目】
3日目は山小屋からイムリルの村まで下山するコース。8時に出発でしたが、私の靴底が取れないように、再び看護師隊員のSさんと隊長のYくんに、靴のテーピングをやってもらって、集合写真を撮って、そして8時半頃山小屋を出発。

この日は前日の慣れない登山から来る筋肉痛が既に痛くって、階段の上り下りが大変・・・。なので、下山時にも筋肉痛が痛くって、普通ならもっと早く降りれるところが余計に時間がかかってしまいました・・・。

それにしても、下山時も天気には恵まれて、また登山時とは違った下山時の山の美しさには圧倒されました。
山小屋を後にする
空の青と大地の茶色や緑が綺麗
途中何度か荷物を運んだラバとすれ違ったり、これから山小屋を目指して歩く他の国の登山者たちとすれ違ったりして、休憩を挟んだりして、



私以外にも靴が破けた隊員がいたので、看護師隊員Sさんと隊長Yくんがまたテーピングを巻いて補強し、

そして無事に行きにも立ち寄ったモスクのある渓谷にてお昼休憩。


お昼の時間にアザーンがなるはずなので、今回は聞けるかと思って待ってたけど、結局この日もアザーンは鳴らなかった・・・。ガイドによると、ここの人はアザーンがならなくてもお祈りの時間は知っているから必ずしもいつもアザーンがなるわけではなく、人がたくさんいる夏のピーク時には鳴るとか・・・。

お昼はガイドが用意してくれたパスタとサラダを楽しんで、休憩所を後にして、下山を続けました。

筋肉痛でへっぴり腰になりながらも、なんとか下山し、無事行きに通ったイムリルの村が見えてきましたー!

行きに通った道とはちょっと違う道を通り、新緑の道を楽しんだり、斜面に見えるベルベルの村の景色を楽しんだりして、



そして無事に下山!!!隊長が見込んでいた下山時間よりも遥かに時間がかかってしまいましたが、無事に全員怪我もなく降りて来れたので満足です!

イムリルからはアスニへ向かうミニバスに乗って、アスニ、タハナウト、ウリカの隊員の家に泊まる人たちで分散して、解散。皆さん本当にお疲れさまでしたー!!!

私はアスニの隊員の家に泊まるので、彼の家にてボロボロになった靴を記念撮影し、
この靴はここにて処分することにしました。
10年以上もよく履いたなー、この靴・・・。

アスニのお家ではみんなでカレー作って食べて、隊長のY先生に筋肉痛対策のマッサージをしてもらって、そしてその後は爆睡・・・。

翌日はマラケシュに行くことになっていたので、アスニを皆で後にしてマラケシュへ向かったのでした。


3日間、日頃慣れない登山(おまけに標高4167mの山)をしたので、とてつもない疲労感を感じましたが、登山中に私を含むみんなをケアして助けてくれた隊長Yくん、下山時に手を差し伸べてくれたTくんやNちゃん、靴を補強してくれたSさんなど、一緒に登ったメンバーが素晴らしくって、みんなに感謝です。このメンバーで登ったからこそ、私は無事に登頂し、下山することができたのだと思います。後から振り返ってみると、体力的に辛い部分もあったけど、楽しかった部分もたくさんあって、みんなで登れて本当に良かったと思います!